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日々の破片

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2026-04-28

_ メリーポピンズ

シアターオーブでメリーポピンズ。

ディズニーの映画は何度か見ているが、特にレッツゴーフライアカイトはディズニーソングスLDを持っていて子供としょっちゅう見ていたので印象が強い(※)。そのミュージカル版らしい。

が、ひげのおっさんで随分子供と歳が離れていそうな映画版と異なり、ここでのジョージ・バンクスは比較的若くて強迫的に仕事の鬼で子供を放置している。映画版のサフラジェッター(スーパージェッターみたいだな)の奥さんと違って、元々女優の奥さんは普通に専業主婦っぽいのだが夫の愚痴の聞き役なのは良いとして、はていったい普段は何をしているのだろう? といささか不可思議な存在(家事は家政婦と庭師ではなさそうななんでもやる下男?、子供の面倒は家庭教師(乳母?)に任せているわけだし)。なんだが、演出ではあまりにジョージ・バンクスがいらついてばかりいるので妙に同情を引く。

いらついていると言えば、映画版ではマイケルは糞餓鬼印象が強いがジェーンは全然記憶にないくらいわけだが、ミュージカルというよりも久住星空という役者が凄いのだろうけど、ジェーンの糞餓鬼っぷりがとてつもない。死ぬよりも苦い消毒薬を瓶から直接飲ませたほうが良かろうとすら感じさせるだけに、バンクス夫妻に同情してしまう。

町の描写(犬の散歩婦人とか提督とか)は、なんとなくパディントンの町を思わせる。これが標準的なイギリスの町ってことはあり得ないだろうが、異なる創作物が同じような描写をしていると、はてこれが普通なのか? と思わず感じてしまうのだった。

ミュージカルは最初から最後まで出ずっぱりなので(音楽もチムチムニー、とカタカナで書いて気づいたがチムニーか。なるほどバートの歌だ)全体的にバートがすべてを回しているように見える。ロンドンの家々の屋根から人々を見守る天使の役回りで固定しているかのようだが、悪くない。2幕の煙突掃除夫大集合は実に楽しい。

メリーポピンズは突如登場。この突如登場は2幕の冒頭でも再現されるが、映画とは異なるミスアンドリュー。それにしてもバードウーマンとミスアンドリューが2役というのは、性格も役回りも正反対だけにおもしろい構成だ。

銀行とバンクスファミリーの闘争は映画よりもはるかにしっかり作られていておもしろい。最初の時点でジョージが選択する融資先は直前にメリーポピンズが訪問しているのでマジックにひっかかったのかと思わせながら、やはりそうではなくジョージの本来の良性の発揮なのだろう。最初の起業家の言っていることがまるでトークン(「暗号」とか「仮想」とかの日本語を捨てて、完全カタカナ化したことでうさんくささが爆発しているわけだが、一般論としては逆にカタカナ化することでマジックとなるのだろう)で(でも少なくとも元のミュージカルの脚本もそうなのだろう?)いつの時代も変わらぬマジックビジネスってあるなぁと笑いを誘う。

結局ジョージの見立ては正しいわけで(とならなければ物語が成立しない)そこでビジネス成功の秘密を頭取に聞かれてジョージがドーシャスと答える謎はおもしろい。まさかここでドーシャスが出て来るとは思っていなかった。人間を見るのですのような台詞が飛び出ると思い込んでいた。それにしてもドーシャス、公園の店でメリーが即席で作ったのを自宅待機時にジョージが耳にしたのか、それともすでにジョージがミスアンドリューに虐待される前に作っていたのか、とか。

演劇として舌を巻くのはメリーポピンズが空を飛んだり、バートが360度タップを踏んだり、凧が上がったりのマジックの数々(そもそも幕の煙突から煙がゆらゆらしているのも、幕ではなくてマジックと言えなくもない。が、最初、稲妻が次々と降り注いでいるのかと思った)。

それにしても印象的なセリフは6ペンスと6ペンス、合わせて1シリングってやつだ。10時から10時間後、つまりは8時のようなわけのわからなさだ(なので24時間で考えるのが好きだ。10時の10時間後は20時に決まっているが、仕事では10に10を足すと100なわけだが)。

とても良い体験だった。

※)ちょっと安かったので有線リモコンのLDプレイヤーを使っていたのだが、ときどき子供(3歳ちょい前くらいの時かな)がそのコードを両手で間をたるませて持って引っ張ったりしている(リモコンは子供の頭よりちょっと高いあたりに置いてあるので片側は上に伸びている)のが謎で妻とあれは何しているのかなぁと言い合っていたのだが、まさにレッツゴーフライアカイトの凧あげを見立てていたのだと気づいて膝を打ったのは良い思い出。ミュージカル版は舞台で演じる以上遠目にならざるを得ないからだろうが糸をたぐるような動きではないが、そこはどうでも良い(音楽がレッツゴーフライアカイトだから)。


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