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日々の破片

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著作一覧

2020-05-16

_ ラストマンと縦横

kdmsnrさんがFBでくっそおもしろいラストマンの続きはどうなるんだ? とか書いていておもしろそうなので4月18日に買って、さっき1~6巻まで読み終わって、くっそおもしろいラストマンの続きはどうなるんだ? となっている。

70年代に日本アニメで育って、最近はナルトあたりを読んでいるらしきフランス人3人組のマンガ(いちおうバンド・デシネに分類して良いのだと思う)だが、20世紀マンガの文脈総ざらいの側面があってどうにもすさまじい。

日本のマンガの影響を後書きマンガなどで公言しているが、絵柄は日本のマンガではない。でも細部にいろいろそれっぽいところはある。

とにかく様々な要素を惜しげもなくばんばん投入してきて、それにほとんど破綻がない(読んでいて、あれ? なんでこうなると最初は思わなくもなかった。特に、王国から谷を抜けてマッドマックスになった時にはそう思った。思い返すと相棒が出てくるところもえ? となったな)。

最初は、主人公の少年が木の精霊の力を使う格闘技学校で訓練しているところから始まる。トーナメントへの出場が目的らしくて、同級生(嫌な奴もいればどうも恋心がなくもない女生徒とかも出てくる)間の話かと読んでいると、いきなりマッチョな好漢登場。主人公のやたらとセクシーな母親がからみ、なんでこうなるのとどんどん話が展開していくのだが、展開が唐突ではあるが、ちゃんと筋道が立っているので滅法おもしろい。魔法の国の武道大会に始まり、マッドマックス風暴力の世界での裁判、一転、ギャングの麻薬戦争、そしてベルセルク風なダークファンタジーに変わり、さてこのあとどうなるんだろうというところで7巻に続く。

特に謎の仮面戦士が良い味を出している。

4巻あたりのあとがきインタビューで作者の一人が、なぜセックスシーン(まったく露骨ではない)が日本の読者から拒否反応を受けたのか不思議だ、だってキャッツアイでもっこりとかバシバシ出てくるじゃんというようなことを書いているのが、すごくおもしろかった。というのは、おれも拒否反応はまったくないものの、そのシーンではん?となったからだ。おそらく日本のマンガ文脈では、交接そのものを示す描写は書かないからだろう。というか、画がその部分が妙に自然にセクシャルだからだと思う。どうもコンテキストの中に埋没しているのが、逆にマンガとしては不自然な感覚を受けるのだろう。というか、フランスだからかも知れないがあまりにいきなりそこまで進んでしまうからかも。ここが、文化的に一番の相違点になっていそうだ。

ラストマン (1)(バラック)

アマゾンでKindle版を購入したが1~4巻は右綴じ、5~6巻は左綴じで別の書籍コードになっているらしくライブラリが2つに分かれる。

右綴じは日本のマンガと同じページ繰りなのでその点は自然なのだが、コマ割りは左から右で、最初の2ページで話が続かなくて不思議だった(で、コマ割りが左から右へ進行と気づく)。さらにセリフが左揃えになっているので、縦書きではなく横書きだと頭ではわかるのだが、縦読みしそうになったりもする。特に字数が揃っているところはそうだ。

試し読みできる範囲だと

負けた
者だけ
交代だ

は、「たけだけだ……」とつい読みそうになる自分に気づいておもしろい。

慣れたところで、5巻以降は左綴じなので自然と左から右へのコマ割りでOKとなる。

日本語は、現在は横書きの場合、左から右なので左綴じであれば自然と読めるが、これが日本のマンガを欧米に持ち込む場合のネックというのは相当前に何かで読んだ。

要は右から左へコマが進むので、左綴じだと不自然(セリフは横書きになるわけだが)、右綴じであっても当然不自然、そのため、読者の便を考えて反転させて出版するので、日本マンガの登場人物は全員左利きで不自然ということだった。さすがに現在はページを反転させて出版したりはしないだろうとは思うが、読みにくそうだな(と思う反面、1~4巻もこちらはすぐに慣れたのだから、わざわざ日本のマンガを読もうという人達には屁でもないのだろう。でも、マスで売るものは、現在でも反転させていたりするのかな?)

同じく、縦書き2行の吹き出しに、横書きにするとえらくハイフネーションされまくって読みにくそうだが、そのあたりはどう処理しているんだろうか?

# このマンガの今気づいたすごく良い点は、どの登場人物も次々変化する文化状況に対して不思議がることはあるのだが(精霊の国から出て来てテレビを目にすればそりゃ不思議だろう)、すぐさま状況を受け入れるところだ。だから政治目的や欲望遂行のための暴力や敵対はがんがんあっても、文化的対立がまったくない(解放戦士はいるけど文脈が異なる)のはとても教育的だ。


2020-05-02

_ マイナポータルで特別定額給付金の申請(と思ったら違ってぴったりサービス)

マイナンバーカードを持っていると特別低額ではなく定額給付金の申請がオンラインでできるというので、マイナポータルからわかりやすい導線に従って進んでいったら、PCにカードリーダライタが必要とわかってしょんぼりしていたところ、塚本さんが『特別定額給付金の申請をオンラインで済ませた』というノートを書いていたので、ならばスマホでやってみるかと再チャレンジしてみた。塚本さんはiPhoneだがおれはAndroidだ。でもおそらくMIFAREだろうからどちらにしても使えるはずだ(と思ったら、Type BでMIFARE(Type A)でもFelicaでもなかった。富士通の『マイナンバーカードの技術仕様と利活用方式』は良い資料だ)。

最初、普段使いのGalaxy A30(マイナポータルで、サポート対象なのは確認済み)にマイナポータルAPをダウンロードしたのだが、いきなりPINを入れろと出て来てびびる。読み込んでからPINなら間違い回数がわかるけど、間違えて入力して読み取りに自動再試行で失敗しまくればあっという間にリトライオーバーでロックされちゃうんじゃないか? と不安を抱えたままのスタートとなる。

まあ、実際間違えていたのだけど。

あと、一瞬Chromeが開いてぱっと消えるのも不安要素ではある(自動的に閉じない場合はクリックとやっと読めたが、自動で閉じるので一瞬フロントに出て来てあっという間にバックに回るので怪しいことこの上ない。というか最初からChrome専用のWebサイトにしたほうが良いんじゃないか? QUICPayとかそうだし)。

でPINを入れて、次へをクリックすると、設置しろと出て来てこれまた疑問がたくさん。しかしいろいろ試したら、ある位置に置くと動作が開始して、そして「動かすな(エラーコード)」と表示されておしまい。動かしてないのにおかしいな? と何度も試したが、1回だけ「暗証番号が違います」が表示されたので、あわてて、マイナンバーカード受領時の紙を探すことにした(少なくともあと2回はチャンスがあるのがこれでわかったからそれはOKでもあるけど)。探したら、区役所の妙な色(蕎麦の実色に緑の字)の封筒が出て来て、中にウサギ(マイナちゃんというらしい)の顔が見えたので一安心。

だが、正しいPINを入れても読み取りエラーになることは変わらない。メッセージは常に「動かすな」なのだが、動かしていないから、SYN-ACKまでは進むが(TCP/IPではなくても、通信は最初のエスタブリッシュフェーズは短いコマンドでやるものだ)、その後が続かないような状態なのかな? ということは伝送長によって不安定になるということだろうと考える。データ転送中にパケットが消えるので「動かすな」というのは悪くないメッセージかも知れないが、この場合は当てはまらない。

そういえばBluetoothも繋がりが悪いのだった。そういうマシンなんだろう(個体問題かも知れないし、もしかすると、附属していた薄いカバーのせいかもしれない)。カバーを外してリトライする気にはならないのであきらめてアンインストールした。

ついでにエラーコードをマイナポータルのお問い合わせに投げ込んだ。A30はサポート対象なのだし、途中まで進むのだから一応、原因は聞いておきたいし。ちなみに、ここの導線は最悪だった。お問い合わせフォームに最短時間で到達するのを競うゲームが作れそうだ。

が、ふと気づくと、Pixel 3aが予備機として手元にあるのだった。しかもこいつは普段使いではないので剥き身のままだ。

で、再度、マイナポータルAPをダウンロード・インストールして再試行。

するとするする進む。読み取り位置は上半分にカードを横向きが安定している。2020年7月に証明書が切れるから役所で更新しろと注意がポップアップされるが、オンライン更新できないのかな? この場合はEMV接触型ICチップのほうを利用するのだろうか(前述の富士通のPDFにも更新については記述されていない)?

最初にPINを入れて読み取ってログイン、特別低額給付金の申請に進み、郵便番号を入力してサポート対象の地区かどうかを判定、いよいよ申請となると再度PIN入力、読み取って名前や住所を自動入力、振込先のエビデンスを求められるので最近よく利用するようになったソニー銀行のホームページを開いて写真を撮ってアップロード(どうでも良いけど、こういう場合、URLに銀行名ではなくMONEYKITとかいうわけのわからないドメイン名を表示するのはエビデンスとしては使いにくいし、どこにもソニー銀行という文字がなくて閉口する。良くみたらタイトルバーにはソニー銀行と出ているので、そこも撮影範囲にした。

最後に、暗号化して送るので署名用暗証番号(番号ではないが)を入力して再度読み取りなんだが、書き込みとかやるせいかえらく時間がかかって相当不安感を覚えたが無事完了。

というわけで、申請は完了。

A30でもたついたことと、問い合わせフォームダンジョン探索を除けば、なかなかうまくできていると思う。楠さんがいろいろ呟いている通り、相当良いものだ。

ところが、メーラを見たらPDFが添付されたメールやらメール送信確認のお知らせなど計3通が、【ぴったりサービス】というわけのわからない件名で来ていて、なんのフィッシング詐欺か? と驚いた。

ヘッダを確認すると送信元がsendgrid.netだから怪しいといえば怪しいが、return-pathなどはちゃんとmyna.go.jpになっているのだから、件名にもマイナポータルと書けばいいじゃんと思わざるを得ない。

が、スマホのほうを見るとマイナポータルAP(に起動されたChrome)の画面に「ぴったりサービス」って書いてあった。怪しい名前だけど、そういうものなのか。

何がぴったりサービスかわからんが、マイナポータルAPが制御するまま、そんな名前のサイトで作業していたのかと気づかずに入力していたことに愕然とした。(多分、ここからは「ぴったりサービス」のサイトで行いますのようなメッセージがあったのかも知れないが、まったく意識していなかったわけで、フィッシングに引っかかる典型的な行動だったのだな)

国内版SIMフリー Google Pixel 3a 64GB Clearly White(-)


2020-04-22

_ Rubyの状態変数の値

状態変数を利用したプログラムを実装するときに、あまり何も考えずに、Numeric定数を使ってしまって失敗した。

 STATE_A = 1
 STATE_B = 2
 STATE_UNKNOWN = 99
 ...
 case @current_state
 when STATE_A
   ...

あとからステートパターンを実装することを考えたら、そこはSymbolを使うべきところだった。

 STATE_A = :state_a # 不要だが、ステート一覧を示すための宣言と考える
 STATE_B = :state_b
 ...
 if self.respond_to?(@current_state)
   @current_state = self.__send__(@current_state)
 else
   raise "unknown state #{@current_state}"
 end
...
 def state_a
  if foobar
    STATE_B
  else
    STATE_A
  end
end

追記: よく考えたらstateを算術演算しているわけではないから中身をSymbolにしたら解消した。型指定がなくてよかった。


2020-04-18

_ 恐ろしき媒(なかだち)

いつ買ったのか忘れたが、1928年(昭和2年)刊で2009年に復刻された岩波文庫の恐ろしき媒を読了。といっても200ページに満たない戯曲。

書いたのはホセ・エチェガライというまったく知らない人だが、あとがきによるとノーベル文学賞(1904年)も取っているらしい。

久々の旧仮名旧字體で最初の数ページは読むのが苦痛だったが(例えばあとがきを読まずに普通に読み始めてしまったので、登場人物のところに記述された場所の馬徳里に最初マレーシアかいやそんなはずはあり得ないから多分マドリードでスペインのようだと思いつくまでで数10秒のラグが生じる)割とすぐに読み方を思い出して普通の速度で読めるようになった。なんでもやっておくものだ。

登場人物はテオドーラという20歳の妻、ドン・フリアンという40歳のその夫、ドン・セペーロというフリアンの弟、ドニヤ・メルセデスというセペーロの妻、ペピートというセペーロ夫妻の子供(20は越えているようだ)、そしてエルネストという24だか26歳だかの青年で、そのほか證人(この時点では意味わからなかったが要は決闘の立会人なので、それを知らずに読み進めたため、突如として血腥くなって驚いた)と下僕が出てくる。1800年代、近代になっている。

最初(プロローグの幕がある)、エルネストの部屋をフリアンが訪れる。エルネストは戯曲を書いているが、うまく書けずに困っている。フリアンはエルネストの父親の資金援助を受けて大成功して富豪となったため、恩義に報いるためならエルネストには何でも提供してやろうと考えている。少なくとも、冒頭を読んで、フリアンってのは実に良い奴だな、と感心する。

エルネストが困っているのは、書きたい題材は噂話のネットワークという世間様なのだが、戯曲という限られた空間、限られた人数による表現で、どうすれば世間様ネットワークを構築すれば良いのか見当がつかないからだ。

ウェルテル的人物なのでエルネストを観客代表とみなして作劇しているのがわかる。

さて物語が幕を開ける。

冒頭で示された人間関係がテオドーラ、フリアン、エルネスト3人の会話で克明に描写される。エルネストはフリアンの好意(部屋と小遣いと資金援助)に心底感謝している。フリアンは自分がエルネストの父親から受けた恩義に報いるためなら全財産をエルネストに与えても良いくらいの勢いである。その妻(20歳の年の差が具体的に示されるのは2幕だが、エルネストのフリアンのことを父親、テオドーラのことを妹として扱う様子から若いことはわかる)は、そういう律儀な夫のことを愛し尊敬している。とても良い関係である。

エルネストはフリアンの好意に甘え続けることに内心忸怩たるものがあるため、独立についてフリアンに話す。フリアンはエルネストを秘書として雇うことを提案する。意見が一致し、フリアンは別口で来ていた秘書の紹介を断るための手紙を書きに場を離れる。

そこセペーロとメルセデス、ペピートが観劇から帰って来る。そして世間ではフリアンたちが話題になっているということをほのめかす。何のことか見当もつかない2人が戸惑っていると、その戸惑いを見て3人は、噂の正しさを確信する。そもそも2人だけでいることがおかしい。

そこにフリアンが戻って来るので、再び世間の噂をほのめかしながら、エルネストを家から追い出すべきだとセペーロはフリアンに進言する。あまりのばかばかしさにエルネストは家から出ることをフリアンに告げる。

2幕、エルネストが独立して住んでいる家をフリアンとセペーロが訪問する。が、エルネストは留守だ。

フリアンは怒っている。噂のせいで、自分が妻とエルネストを見る目は以前のようにはいかなくったのだ、事実自分は40歳で妻は20歳、エルネストは美青年で24歳でお似合いだ。そんなことがないのはわかっているのだが、それでも疑念を持たされてしまったためにもう元には戻れない。お前が悪い、とセペーロに詰める。セペーロは、おれは兄貴と家名のために噂を紹介しただけでそんなことは考えてもいないという。(言葉の端々で、セペーロはエルネストのことを財産を使う寄生虫のように考えていることが明らかになり、当然、テオドーラとの仲も噂通りだと信じていることがわかる。そして家名と財産と同様に兄の名誉も大事に考えていることもわかる)。

そこにペピートが入って来る。エルネストが、噂話を耳にしてその噂を口にした子爵を殴ったために決闘の約束をしたと告げる。

フリアンはそれは自分の役目なのだと宣言してセペーロと共に出て行く。

ペピートが独白する。テオドーラは美しい。したがって噂は正しいに違いない。要は自分がテオドーラに横恋慕しているために、噂話に真実があると確信しているのであった。(エルネストの愛読書の神曲が机の上に置かれているのを眺めながら。場面はパオロとフランチェスカ・ダ・リミッニがランスロとギネヴィアの本を読んでいるところとなっていることで確信するのだが、冒頭からエルネストが仲立ちについて考察するためにそこを開いていることを観客はわかっている)

そこにエルネストが登場。2人で言い合いをしているところに下僕がやって来て、ご婦人が訪問ですと告げる。それじゃおれは行くわとペピートは気を利かせて帰る。

やって来たのはテオドーラで、決闘をやめてくれと懇願する。そうはいかないとエルネストは答える。でも、実際に2人の間の愛情は兄と妹のようなものでまったくの潔白なのに、決闘を受けて立ったら本当になってしまうではないか。名誉を傷つけられたのは夫なのだから戦うのは夫でなければ筋が合わない。でも子爵は強いから死にますよ。夫を侮辱するのですか? と、困った話し合いになったところに下僕がいっぱい人が来たと告げる。そもそも独身男の部屋を既婚のテオドーラが訪問しているのは噂話に尾ひれがつくので厄介だから、寝室に隠れていてくれと寝室に通す。

フィガロの結婚のような人に入れ替わり立ち替わりによるドタバタ劇でおもしろいが、話が深刻なので愉快ではない。

入って来たのは血まみれで瀕死のフリアン、セペーロ、ペピートと證人。(決闘の場所が同じ家ということになっているため、フリアン邸ではなくエルネストの部屋なのは合理的)

3人はフリアンを寝かすために寝室に入れようとする。必死に止めるエルネスト。わけがわからんとペピートとセペーロが扉を開けるとテオドーラが飛び出してくる。やっぱり、そうなんだとペピートとセペーロと瀕死のフリアン。わけがわからなくなってエルネストは飛び出していく。

3幕。フリアンは瀕死の病床でテオドーラとエルネストを呪っている。本気で殺そうとしている。

セペーロとメルセデスとペピートが話しているとエルネストが入って来る。フリアンに釈明したいというのだ。エルネストはいきなり子爵に再決闘を申し込んで見事に仕留めたことを語る。

セペーロはそれを許さない。エルネストは人を一人殺したことで完全に狂犬状態になっているのでセペーロを脅しつける。セペーロが屈服しつつあるところに、テオドーラが入って来ようとする。絶対に合わせないとセペーロとメルセデスが強行に出るのでエルネストは部屋を出て行く。

さあ、本当のところを白状させるて兄貴に謝らせるとセペーロが息巻くと、ここは私にまかせて男は引っ込んでとメルセデスが1人きりでテオドーラを迎える。

ここではメルセデスの真意がわかる。彼女は浮気をしたくてたまらないので、当然機会があるテオドーラがエルネストと浮気していることが前提となるのだ。かくして、あらゆるカマをかけまくる。呆れ果てるテオドーラだが、何を言ってもメルセデスには通用しない。

全員が集まる。フリアンは最後の力を振り絞ってエルネストを殴る。エルネストはあまりのばかばかしさにされるがままとなる。フリアン死ぬ。テオドーラは気を失う。

さらにやいのやいの攻め立てるセペーロ、メルセデス、ペピートに対して、気絶したテオドーラを両腕に抱きかかえたエルネストは、わかったわかった愚かな世間よ。お望みの結末をお前ら犬畜生にくれてやる。これで満足だろう、と2人(テオドーラは気を失ったままだが)で扉を開けて去って行く。

悲劇なのは間違いないし(言葉遣い)、会話は巧妙(とくに1幕の終わりの気分の悪さ(何もやましいことがない3人の間に徐々に疑惑が入り込むところ)や、2幕から3幕にかけて、弟家族の本心が透けだしてくるところ)、場面転換のうまさ、密室劇に近いのに入れ替わりをうまく利用した演出の幅の取り方、文句ない傑作だった。

しかし、あまりにもエルネストを高潔な文学青年として書いているため(というか、そういう観客設定だろうし)意図せぬ喜劇性がそこかしこにあって、おもしろさまでもが抜群になっていた。最後はあまりにもエルネストがかっこよすぎだろうし、一方で、おっさん代表にされてしまったフリアンの最後のみっともなさは酷過ぎる。

おもしろかった!

恐ろしき媒 (岩波文庫)(ホセ・エチェガライ)

ザンドナーイのおかげでフランチェスカ・ダ・リミッニの物語を知っていたのでおもしろさ3倍増はしている。

Francesca Da Rimini [DVD] [Import](Zandonai)


2020-04-06

_ 死者は死なない

7日から緊急事態宣言が発令されて映画を観るのも見納めと、日比谷TOHOでジム・ジャームッシュのデッド・ドント・ダイを観に行く。

頭の中にはThe Dead Don't Dieとしか無かったために、やたらとスクリーンがある日比谷TOHOの2つに分かれたどちらの劇場か迷いに迷う。良くみたらカタカナだった。世のカタカナ力はすごいな。

チケット発券機で席を選ぼうとしたら半分以上埋まっているので驚いて良く見たら、これが噂の市松模様かと納得して、さあ発券となったら、今度は2枚中1枚を発券中と出てびびる。1枚で十分ですよ。窓口で払い戻しとかできるのかな? それにしても押し間違えた覚えはないのだがとか考えていたら2枚目はクレジット領収書だった。わかりにくいな、おい。

暢気なカントリー調の死人は死なないのテーマに乗ってビル・マーレイとアダム・ドライバーの警官がパトカーに乗って登場。山に暮らすボブが鶏を盗んだと通報があったのだ。ボブはトム・ウェイツなのか。年を取り過ぎていて誰だか最後にクレジットを見るまでわからなかった。わけのわからない町外れに潜むボブってツインピークスじゃないよな?

ビル・マーレイと通報した農場主にはわだかまりがあるらしく、ボブが発砲してきたのでアダム・ドライバーが撃ち返そうとするのを止めて警告だけして山を下りる。

パトカーは町を巡回して署へ戻る。モーテル1軒、ガソリンスタンド1軒、鑑別所1所、葬儀屋1軒、カフェレストラン1軒の小さな町だ。夜の8時30分だが外は明るい。ビル・マーレイが今何時だ? と聞く。アダム・ドライバーがスマホを見ると止まっている。充電してきたのにおかしいな? いずれにしてもサマータイムのせいで時間感覚がむちゃくちゃだ。

カフェでは、トランプ主義のモットーを書いた帽子をかぶった農場主が、カウンターで黒人の雑貨屋と並んで食事をとっている。

コーヒーのテイクアウトするかと聞かれて、黒過ぎるからいらんと吐き捨ててから横の黒人に気づいて、いや、濃過ぎるっていう意味だとブツブツ言って去る。

むちゃくちゃ映画でおもしろい。

カフェの女店主は、給仕と葬儀屋の新しい主人について話す。ゼルダという名前で、給仕がわたしゼルダという名前は好きよ。なぜ? フィッツジェラルドの奥さんの名前じゃない。それ誰? 華麗なるギャツビー素敵だった。何それ? ロバートレッドフォード。首をふる(なんかよくわからないがこの後も教養がない人として描写されまくるではなく、教養のない人としての描写の止めがゼルダだったかも)

ガソリンスタンドにはひ弱なメガネ口髭がいる。トラックが止まりRZA降りて来てSF雑誌か何かを置いて帰る。

警察署にはクロエ・セヴェニーが待っている。警察官は3人いるらしい。奥の部屋には不慮の死を遂げた老婆の死体が横たわっている。安いシャルドネを飲んで死んだらしい。

ラジオからは地軸の歪みと、その原因らしき極地開発について、大統領と開発企業が、極地開発の必要性と無害さについて話している。

そして夜になり、2つの死体が墓から出てくる。イギーポップとサラ・ドライバーだ(これもおれには初見ではわからなかった)。死体は、カフェを襲い、女店主と女給を食い殺し、コーヒーと叫びながらコーヒーを次々と飲んではカップを取り落とし(割れる)、最後はジャグを持って立ち去る。

カフェの前に雑貨店主が立っている。ビル・マーレイが店の中に入り、死体を見て憮然として雑貨店主の隣に立つ。雑貨店主が言う。あれは野獣が何頭かで襲ったのか? ビル・マーレイは違うと思うと答える。

赤い妙に小さな二人乗りの車に乗ってアダム・ドライバーがやって来る。

店の中に入り、死体を見て憮然としてビルマーレイの隣に立つ。アダム・ドライバーが言う。あれは野獣が何頭かで襲ったのか? 雑貨店主がおれもそれを言ったと言う。

プリウスに乗ってクロエ・セヴェニーがやって来る。

店の中に入ろうとするがビルマーレイに止められる。しかし入る。死体を見て憮然としてアダム・ドライバーの隣に立つ。クロエ・セヴェニーが言う。あれは野獣が何頭かで襲ったのか?

クロエ・セヴェニーに群衆(2人だか3人だか)の整理を頼んで、ビルマーレイとアダム・ドライバーがパトカーに乗りパトロールに行くのだったかな?

暢気なカントリー調の死体は死なないが流れる。その曲はなんだ? とビルマーレイ、テーマだ、とアダム・ドライバー。(このメタ会話は、最後に墓地へ向かうシーンでも行われるが、蛇足に感じた)

一体何が起きたのだろうかとビル・マーレイ、ゾンビだとアダム・ドライバー。墓地へ行くと死体が出てきた穴にビル・マーレイが落ちる。

鑑別所には少なくとも5人収容されている。うち、少女2人と仲良しで物知りのジェロニモという名前の少年が主な主役として活躍する。この3人は隠れ家に無事たどり着くことができたかどうかは明かされない。

一方、葬儀屋のスコットランド人だか異邦人だか謎の人扱いされているゼルダが白い道場着で、金の仏像の前で日本刀の素振りをしている。

その後、死化粧している最中に動き出した死体の首を刎ねる。彼女はばんばん日本刀で首を刎ねまくる。最後墓場で帰って行く。彼女のシーンはどれも抜群におもしろい。

ゼルダがアダム・ドライバーの車のキーを受け取るときに、キーホルダーがスターウォーズなのに気づく。スターウォーズね。アダム・ドライバーが、ああそうだ、と答える。

パトカーの中でゾンビに囲まれる。クロエ・セヴェニーは祖母に呼ばれてついに外に出てしまい食べられる。

アダム・ドライバーとビルマーレイは、高倉健と若山富三郎か、アーネストボーグナインとウィリアムホールデンのように、ついにパトカーから出て死地へ赴く。

トム・ウェイツがもっともらしい物質主義批判のセリフを棒読みする。

終わって外に出たらゾンビで町はいっぱいだったが、生きて歩いている人間は少なかった。

・アダム・ドライバーは名優だ。


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