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日々の破片

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2024-02-11

_ 瞳をとじて

友人から目を閉じてに行こうと誘われた。

はて、Les yeux fermésがリバイバル上映されたのか? と思ったが久しぶりにテリーライリーを聴くのも悪くはないと二つ返事でOKした。

が、映画館の前売り買おうとしたらビクトルエリセの瞳をとじてだった。妻(昨年から一緒に行こうぜと言っていた)に行くか? と言ったらその日はパスと言われたのでとりあえず友人と観ることにした。

いきなりがさついたちょっと16mmっぽい映画が始まる。ユダヤ人のレヴィと呼ばれる老人、中国人の召使が住むLe Roi Tristeというデカメロンから取ったらしい館を男が訪れる。庭には両面の胸像。

チェスの駒。

扇を持ったチャイナドレスの女性の写真。

上海に探しに行ってくれ。

オーソン・ウェルズの上海から来た女を考える。

と、実はこれは主演男優の失踪のために中断された映画の断片だということが示される。不滅の物語みたいだ。

と、現代のスペインに舞台は変わり、映像は普通に映画となる。

ひげの初老の男がテレビ局だか制作会社だかに現われる。オーディションか? と受付に聞かれる。プロデューサー(だと思うが、番組ではキャスターも務めている)の名前を出して面会の予約があると答える。

失踪した男優についてのドキュメンタリーに、その映画の監督として出演するための打ち合わせだったのだ。

その作品の関係者は皆死んだ、と答える。俳優は手先が器用だっという話。

が、どうやら唯一の生き残りらしい編集者の元を訪れる。編集者は大量のセルフィルムと映写機に囲まれて暮らしている。2リール残っている。

壁のポスターが2枚。右側は赤と黄色の派手なもの。

ポスターを変えたのか? ニコラスレイのフィルムが手に入った。大傑作だ。

(ポスターはちらっと出ただけなのでまったくわからないが、黄色と赤の派手なのだとすると、テクニカラーの大砂塵だろうか? と思うのは、後知恵で、この後西部劇の歌が出てくるからだ)

プロデューサーに頼まれて俳優の娘に会いにトレドの美術館へ行く。

美術館の従業員食堂(だと思う)で会話。

古本屋で自分の処女作(廃墟)を見つける。表紙の見返しに献辞がある。

送り先の女性に電話をかけるが使われていない。

女性の兄弟を通じて連絡を取る。

私が売ったわけではないのよ。引っ越すときに置いてきたのが巡り巡って手元に来たのね。

ピアノを弾いて歌う。

男は海辺の町に来る。そこに住んでいるのだ。

リッキーと呼ぶと犬が大喜びでやって来る。

隣家の男と短い会話。犬の面倒を見てくれていたらしい。トマトが熟れているよ。

家の裏の菜園。トマトは青いが手前に一つだけ赤く熟したのがある。

夜、隣家の夫婦、大足と呼ばれる男(あとで釣り船のオーナーらしいとわかる)の4人で飯を食う。

男はマイクと呼ばれている。スペイン名のミゲルは英語でマイクだからだ。

ギターを取って歌い始める。途中で隣家の男と掛け合いになる。

just my rifle, my pony and me

この曲は良く知っている。赤い河だな。と思うが赤い河に歌うシーンは無いから不思議に思う。

あとで調べるとリオブラボー(2番で掛け合いになるので同じだ)の挿入歌(主題歌は皆殺しの歌とした場合)だった。が、曲は赤い河で出てきたとあるので、記憶はそれほど間違ってはいなかった。というか、リオブラボーのそのシーンは完全に忘れていた。

凄まじく長いシーンなのだが、すごく良い映画だ。

家主たちが売却を決めたらしい。次に住む家を探さなければ。車を直す必要がある。

海で釣り。細長い小さな魚が網の中に10匹くらい。

その後、テレビを見た女性から老人ホームで暮らしている記憶喪失の老人が俳優ではないかと知らされたプロデューサーから連絡が来る。手先が器用なので雑用をしてもらっている。

男はバスに乗って老人ホームがある町へ行く。

犬が別れを惜しんで家を囲む柵の向こうに立ち尽くす。

修道女から男の名前がわからないのでタンゴ歌手の名前で呼んでいると言われる。

一緒に漆喰を塗ったり作業をする。持ち物に映画の小道具の上海の女性の写真と小道具のチェスの王(悲しくはないが悲しみの王)が出てくる。俳優その人だと確信する。

娘が呼ばれてくる。電気が点いているからまだ起きている。小屋に入る。真っ暗だ。暗がりの中手探りで寝室(なのかなぁ)のドアを開ける。全然起きていないで眠っている。

ソイアナとここで自己引用。

どうもわからないから帰る。

なぜ、彼は写真と駒を大事に持っているのか? 映画だ。

男は廃業した映画館のオーナーと話をつけ、編集者に残存したフィルムを持って来いと連絡し、娘にまだ留まるよう告げる。さらにプロデューサーも呼ぶ。

映写室。おれのやつより良い映写機だ。

男は修道尼僧、プロデューサー、娘、俳優に座るべき位置を指定する。

映画が始まる。

男が娘を連れてルルワトリステに戻る。

レヴィはほとんど死んでいる。連れられてきた女性の顔を拭う。偽物? それとも中国風厚化粧を落とすため?

偉く長い映画だと思ったが、観終わってしまうとあっという間だった。映画を堪能したという余韻が強く残る。


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