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日々の破片

著作一覧

2014-05-06

_ 中年と少女

いつの間にかKindleの中に見覚えがない妙な表紙のやつが入っていて首をかしげる。

隻眼の少女(麻耶 雄嵩)

で、まあしょうがないので連休だし読み始めて、だらだら読んでいるうちに興が乗って来て読了した。なんか取ってつけたようなところも多いが(というか、本格推理小説ってそういうところがあるな)、テンポも良いしおもしろかった。

で、最後になって、あ、確かにこれは買ったと思い出した。しかしこういう作品について公開の日記に書くのは厄介だな。とにかく、まとめサイトを眺めていて、そんなものがこの時代にあるのかと興味を惹かれて買ったのだった。まったく覚えていなくて良かった。

で、1部と2部に分かれているのだが、2部が妙に良い。

それにしても最近読んだ探偵ものは中年男と少女の組み合わせが多いように感じる。実の親子のこともあれば、疑似的な親子の場合もある。まったく恋愛感情は(すくなくとも中年側の視点で書かれたものしかなく、その限りにおいて)ないのだが、微妙な腫れ物に触る感があり、それがおそらく殺伐とした話に柔らかさを持たせるのかなぁ。

たとえば名探偵コナンもその範疇かも知れない。

事件屋稼業 : 1 (アクションコミックス)(谷口ジロー)

関川夏央は大嫌いだが、事件屋稼業はそれほど唾棄すべき作品ではなく、谷口ジローの力もあって、良い作品だが、ここでも親父と娘の関係が大きい(こちらも離婚しているが、コナンと違って娘は母親側が引き取っている)。

二流小説家(デイヴィッド ゴードン)

二流作家も疑似親子関係があるのが作品の読みやすさを大きくしている。

あ、待てよ。ギリシャ悲劇的な彫琢をもたせることをこの連中は考えているんじゃなかろうな。

谷口ジローと言えば、Liveオデッセイのオデッセイとプチの関係も疑似親子(ただしオデッセイ視点)だった。

LIVE!オデッセイ (上) (双葉文庫―名作シリーズ)(狩撫 麻礼)

原作者は違っても、なぜか谷口ジローにはこういう組み合わせを書かせたくなるものなのかも知れない。

印象だともっとたくさん挙げられそうな気がしたけど、思ったよりも出せないものだった。


ところでこの作品ってアリバイが全員ないという点からいくらでも処理できるうちの1つの割とどうでも良いパターンが書かれているだけなんじゃないかと思う。第一部についていはその時点の犯人がその時点の犯人だけど便乗で+1されているとしたほうが筋が通る。そして第2部では一番動機があるやつ(過去を繰り返したい人)が暴れ狂っているのでご本尊が退治に来たが邪魔が入ったので被ったとするほうが筋が通る。あるいは第2部は第1部の反転した繰り返しと見ることもできる。この親にしてこの子あり。そして第1部の最後の逆パターンで終わるとか。つまりは機械仕掛けはうまくできていて、ただ動機の強弱によっていくらでも犯人の当てはめができるというのがミソになっているようだ。


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