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日々の破片

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2021-12-23

_ ラストショー

ペーパームーンは中学生の頃日曜ロードショーかなにかで観たことある(相当おもしろかった記憶はある)けど、ボグダノヴィチってどうも折り合いが良くなくて有名なわりには意識的には観たことなかった。

で、例によって妻が借りて来た(ただし図書館のDVD)ので一緒に観た。

すげー退屈した。だめじゃん。なんというか、特に最初の10分くらいであまりの取ってつけ方に笑ってしまった。要は1950年代初頭の生活と映画を1950年代風の映画として1950年代風に作りたかったでござるでござるでござる×100みたいな主張の強さが鼻につきまくる。

というか、音楽がロックンロール未満時代で固めていたりでカントリーばかりだったり(ただ、Rose, Rose, I Love Youが流れるのには驚いた)、紙巻きたばこはまだ自分で巻くのが当たり前だったり、遊び人でも高校生だと身持ちがそれなりに固かったりとか、ディティールへの気配りとかすべてがすべてやり過ぎ感に溢れていて、それが映画愛を突き抜けて自己顕示欲として爆発しているようにしか見えない。

小さな田舎町ものに付き物の外の世界への憧れとして、Rose, Rose, I love youやミズーリ!やオデッサ・テキサス、ダラスとかを出してきているのはわかるのし、そのあたりの脚本含めた小道具の妙味はわからんでもないけど、映画として退屈なのはどうにもならなかった。で、外へ出るチャンスは金持ちの子弟の大学行きか、兵役で朝鮮なわけか(まさか、退屈さを表現するために退屈な映画を作ったということはないだろう)。

この作家が映画が好きなのはすごくわかる。わざわざ映画館に貼ってあるポスターがジェームズキャグニーの白熱だったりするわけだ。

しかも、二人で(レレレのお兄さん――いつも箒を持って掃除している――もいるけど)観るザ・ラスト・ピクチャー・ショーが赤い河で、ジョン・ウェインが(全身映って)「ミズーリへ行くぞ」(間)「おお!(顔)」「おお!(顔)」「おお!(顔)」のシーンなわけなのだが、残念、ハワードホークスのたかが数10秒のシーンのほうが遥かに映画だった。っていうか、赤い河をまた観たくなった。その意味では赤い河という大傑作の記憶を喚起させてくれるわけで素晴らしい作品とは言える。(間)が妙に長いのかも知れない。役者に微妙な表情をさせてシーンを終わらせるというのが多過ぎる。

ただ、1シーン、河のほとりに車を停めてのキスシーンは絶妙だと思った。このシーンはとても美しい。残念なことにもっとうまい作家であればもっと良いシーンになったはずの、サム・ザ・ライオンとサニーの釣りのシーンは単なるシーンでしかなった。

でも、まあ観て損はしなかったか、な?

その他のおもしろかった点: 「オデッサに石油を掘りに行く」というセリフに反応して妻が「オデッサ・ファイル」とかの「オデッサ?」とか言うが、確かあれは東だし1950年代初頭に東へ行くなんてありえないから、「パリス・テキサス(これは傑作)があるくらいだから、オデッサ・テキサスがあるんじゃないか?」と言ったら本当にそうだった。テキサスにはなんでもあるんだな(おそらく「トーキョー・テキサス」とか「オーザカ・テキサス」とかもあるかも知れない。

ラスト・ショー (字幕版)(ティモシー・ボトムズ)

要は今となっては、これを観るよりサイダーハウスルールとかビッグフィッシュとか同じような過去を振り返る作品でも遥かにおもしろい作品がある(バックトゥザフューチャーも同じジャンルをとんでもないエンターテインメントに仕立てている。そういえばロケットボーイズもそうだが、映画のロケットボーイズもそれほどおもしろくはなかったな)ので、観るのであれば優先順位は全然下になるということなのだった(もちろん、それらと違うのは、徹底的に外に出ない映画なわけだが、何かちぐはぐなんだよなぁ)。


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