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日々の破片

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2021-07-17

_ シェルブールの雨傘

一番好きな映画作家はジャックドゥミーだが、一番有名なシェルブールの雨傘は観たことがないままで来てしまった(一度、有楽町にかかったときがあって行こうとしたのだが都合がつかなかった)。

で、プライムビデオに入っているから観ろと妻に言われて観た。

双子の兄弟映画(にして双子の姉妹の映画)のロシュフォールの恋人はVHSやDVD(もちろん劇場でも)50回以上観ていて、双子の兄弟映画と言われているのだから似たようなものだろうと思って観たら相当違って驚いた。

というか、そもそも悲恋映画だと思っていたのだがこれまた大外れだった。

傘で行き交う人々(最後は傘をさしていない)を真上から撮影したシーンから始まる。

自動車屋に車が入って来て歌が始まる。

店主に残業を頼まれるが、今日はデートだからいやなこったと断る。ロッカー室で着替えていると同僚がやって来る。何に行くんだ? カルメンだ。おれは映画のほうがいいな。だってオペラは歌ばかりじゃん、とメタな会話。

カトリーヌドヌーブが傘屋で働いている。母親の店主に何か言われるがカルメンを観に出かける。店の名前はパラプリュイドゥシェルブールで、シェルブールの傘屋じゃん。題名はこの傘屋の名前でもあるのか。

母に結婚の話を切り出すと、まだ早いと言われそうというようなやり取りがある。なんかカトリーヌドヌーブは26歳くらいかなぁとか思いながら観ているので、そうなのか? と考える。

カトリーヌドヌーブに将来の夢は? と聞かれて男はガソリンスタンドの経営だと答える。娘が生まれたらフランソワーズにするわ。それは良い。一家に一人は娘がいるべきだ。まあそうだな。

男は寝たきりでときどき嫌な目つきをする寝たきりの伯母さんと暮らしている。お手伝いに近所の女性のマドレーヌが来る。

こっちのほうがカトリーヌドヌーブよりきれいじゃんと言ったら、妻はこの人、暗いから嫌いと言う。

案の定、カトリーヌドヌーブと母親の交渉はうまくいかない。あんた17歳でしょ、結婚には早過ぎるというやり取りとなりびっくりする(いやいやそれで17歳はないだろう。と思うと妻が実際は19歳だったらしいと言い、年齢は見た目ではわからないものだなぁと話す)。そもそも相手は何歳なの? どうせ徴兵されるわよ。それよりも、もっとおいしい結婚をしなさいな。

そこへ税務署から督促状が来る。質屋へ宝石を売りに行くことになり、そこで髭の宝石商が出てくる(というか、車屋の恋人も小男で並んで歩くとカトリーヌドヌーブのほうが大きい)。最初から色目を使い、母親は気付き、カトリーヌドヌーブは気付かない。

それはそれとして案の定、恋人はアルジェリアに送られることになる。

カメラを移動するトロッコの上に二人を乗せて引っ張って撮影しているのだろう。二人は宙を浮いているかのように身動きせずに移動する。良いシーンだ。

駅のシーンはなるほど、ミシェルルグランが盛り上げに盛り上げて悲しさで満ちている。

宝石商は母親に打ち明ける。かってローラという恋人に手ひどくふられた。ああ、ローラローラだなと観ているこちらは思う。そのローラはロシュフォールの恋人では殺されたことになっていて、母親のカフェの常連の太ったおっさんが犯人で逃亡することになる。

一方、カトリーヌドヌーブは髪を上げているのだが、これは美しい。なるほど19歳かも。妻が、この人額が猿っぽいから髪をちゃんと上げたほうが美人ねと言う。同感する。

ローラはユーロスペースで観たがオープンカーだけが印象に残っている。ポスターになっているからだろう。

一方、カトリーヌドヌーブは妊娠を母親へ打ち明ける。

まあ、孫は楽しみ! と母親は喜ぶ。問題は宝石商ね。あんたはどう思っているの?

なかなか恋人から手紙が来ないカトリーヌドヌーブは答える。

妊娠していることを言って、それで去っていくなら全然OK。もしそれでもOKというなら誠意は疑うまでもないから結婚する。

というわけで結婚する。クールだ。

一方、男はようやくシェルブールに戻る。傘屋は売りに出ている。

まるで郵便配達員に恋人をとられた恋々風塵の主人公のように絶望して無精髭でうろつき回り、態度が悪いので車屋も馘首される。

伯母さんは死に、マドレーヌからは軽蔑される。

ジェニーという娼婦にジュヌビエーブがいなくなったというと、ジェニーは私の名前もジュヌビエーブよと答える。

ついに傘屋は別の店になる。

そこで男は奮起して、元の夢の通りに伯母さんの遺産でガソリンスタンドを買い、マドレーヌに結婚を申し込む。

雪の日、ガソリンスタンドの表で男の子が遊んでいる。フランソワだ。

そこに車が入って来る。おれが出るよと男が出る。

結婚してすぐにシェルブールを出たの。母は先週死んだわ。娘の名前はフランソワーズよ。会う? いや会わない。

アルジェリアから帰ったあとのすさみ方を別とすれば、悲恋の映画というわけでもなく、それなりに万事快調だった。音楽が極度に悲劇的なだけなのだな。ロシュフォールの恋人のほうが楽しくて好きだなぁ。

とはいえこの映画も色彩が抜群。水兵さんがたくさん。時たまつなぎ直しているが、カメラを停めて人が通り過ぎる長いシーンもあってとても好き。ただ比較するとロシュフォールの恋人のブブを迎えに行きジーンケリーが出てくるまでのシーンのほうがさらに洗練されている。つまり弟映画のほうがさらに好きだ。

とはいえ、これはこれで良いものだった。やっぱりジャックドゥミーは好きだな。

シェルブールの雨傘(字幕版)(カトリーヌ・ドヌーヴ)


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