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日々の破片

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2019-12-21

_ ポール・ウィリアムズの映画2本

妻がアマゾンのスターチャネルのお試しに入って、ボウイ最初の5年間があるから観たらどうだと言い出したのだが、時間が取れずに土曜日になった。

さて観るかと思ったら、困ったことに契約終了とかで配信停止になっていた。

しょうがないので適当に配信中の映画を眺めて、クーリャン街とかあるけど別に普通にDVDで観られるしと、やっているうちにダウンタウン物語につかまった。

確か高校生の頃に名画座かテレビか忘れたけど、えらくおもしろかった記憶がある。

というわけで観始めたら、クレジットにポール・ウィリアムズと出て来て、あれ、この映画もポール・ウィリアムズが楽曲を提供していたのかとちょっと驚いた。制作年を見ると1976年なので、ファントム・オブ・ザ・パラダイスと同時期で、この頃油が乗り切っていたのだなとか考える。

夜の街角で雨樋がアップになり、名前忘れたも水の流れに注意していれば死ぬことはなかったのに、というようなナレーションが入り、ギャングスタ―の衣装を着た男が転がり込むように路地に入り込む。ゴミ箱か何かに躓き大きな音が立つと、2階の窓があき、おばさんが「やかましい」と喚きぴしゃりと窓を閉める。通りの向こうから5~6人のギャングスタ―が横並びにやってきて、マシンガンを構える。と、白いものが飛び交って男の顔にぶつかってストップモーション、はい、死亡。ギャングスタ―達が去って行き、ピョンとジャンプして体が斜めになったところでストップモーション、映画だ。と、モテモテ男バグジー・マローンの歌が始まる。良い歌だ。

それで思い出した。キャストが全員子供のギャング映画のミュージカルだった。子供なので血は出ない。代わりにパイ投げで勝負が決まる。自動車はすべてペダルをこぐのがエンジンになっている。ことその2つを除けば、セットも衣装も完璧に30年代ギャング映画になっている。

禁酒法時代のニューヨーク東が舞台。ファットサムが酒場を経営しているが、ダンディダンが縄張りに進出してきて今や風前の灯。

ダンディダンは新型の武器であるマシンガン(石膏ガンと字幕が出るが、クリームでなければおかしい)を使って、サムの子分を次々と殺していく。

そういう殺伐とした物語を背景に、風来坊のボクシングマネージャのバグジーマローンが芽が出ない歌手/女優のブラウジーに恋をして、ハリウッド行きの2人分の切符を買うためにサムの手伝いをすることになる。強盗に襲われたときに助けに入ったルロイ(バグジーが口説いてボクシングへ転向させる)や失業者を使って最後の決戦のお膳立てをして、去って行くという物語である。

バグジーというよりもブラウジーに意地悪をするためにサムの愛人で酒場のスター歌手のタルーラ(ジョディフォスターが演じていて、やたらときれいなのでちょっと気持ち悪い)にちょっかいをかけられたり、いつまでたっても舞台に上がらせてもらえない下働きの黒人少年(タップの名手らしいのだが、靴は見せても踊りは見せず(映画文法から言ったら絶対にタップを踏ませるべきだが、おそらく踏めないのでやらせなかったのだろう)、最後はショッキングな死に方をする)、気が弱いがやたらとパンチが強いルロイなど、出てくる人間はそれぞれ魅力がある。最後の一人なので自分のことだとわかっていやいやながら敵陣に潜入するベイビーフェイスというのが良い演技をしているが、ジョディフォスター以外だとベイビーフェイスは現役の役者になったようだ。

それにしても、なんでこんな映画を作ったんだ? と不思議になる。

作家のアラン・パーカーはこのあと、おれが観たのだとミッドナイトエクスプレスにしろウォールにしろエンジェルハートにしろ、やたらとスタイリッシュという共通点がある以外は無茶苦茶に傾向が異なる(子供ミュージカル、ドキュメンタリー調政治映画、ロックスターミュージカル、ホラー)映画を撮りまくっていたのを考えると、ハリウッドを本場とすれば映画辺境の地のイギリスで目立つためには何か外す必要があったのかも知れない。

肝腎のダウンタウン物語という映画はテンポも音楽も役者も映像も実におもしろいし、映像を再建したのか45年も前の映画とは思えない美しさだし、満足しまくった。

ダウンタウン物語(字幕版)

・バグジーといえば、フラミンゴホテルのバグジーを思い出すのだが、同じ人物なのかな?

いや、あっちはバグジーシーゲルだった。

バグジー (字幕版)(Warren Beatty/Barry Levinson/Mark Johnson)

で、ポール・ウィリアムズ、1970年代中期、カルト(的な映画)というところで、超久々(30年ぶりくらいか?)にファントム・オブ・ザ・パラダイスも観るかと、レーザーディスクを取り出して、余りのでかさと重さに驚きながら観始めると、バンバンスクラッチされて同じセリフが何度も繰り替えされる(それがちょうど、永遠とか、終わることはない、といった歌詞や台詞の場所なのがおもしろくないこともない)。メディアは本当に腐るなぁとうんざりする。それでも早回し(ではない)スキップすることでどうにか最後まで観ることはできた。

アラン・パーカーが45年たっても新鮮なのに、ブライランデパルマはだめだ。古臭くなり過ぎている。スクリーン分割や、きらきらした文字、ビデオによる2重写しとか、そういった映像で凝った部分が全滅だ。唯一、スワンが隠し扉に入って、その扉が閉まると鏡面にファントムが映るところは良いシーンだと思った。

まだファントムになっていないウィンスローがパラダイス劇場に忍び込み衣裳部屋に入るまでの階段のシーン(次々と人が出てくるが、視線をカメラ(カメラはウィンスローの視点となっている)に向けることなく立ち去る)は抜群にうまいのだが、あまりにさりげないのでちょっともったいない。

あと、やはりシンセサイザーに囲まれた作曲部屋はアナログっぽさがむしろ最高にかっこいい。

ファントム・オブ・パラダイス [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

でも、それそれとしてカンタータ・ファウストの音楽をカントリーにしたりサーフィンにしたり、ソウルにしたり、アンディウイリアムズの才能は抜群だ。

・レーザーディスクですらまともに保存できないんだから、いずれにしても、ビデオテープの契約ではそれほどスワンの生命は永遠ではないだろうな、とか思った。


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