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日々の破片

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2014-08-07

_ 敵は海賊

友人と本屋に行ったのだが、そういえば以前戦闘妖精雪風がどうしたとか言っていたなと思い出した。神林長平はおれがちょうどSFをまったく読んでいなかった頃に出て来た作家なのでそのまま読むことなくその日になったわけだが、何かの縁だから読んでみようかなという気になった。

で、雪風っておもしろいのか? と聞いたら、そりゃおもしろいが読んだこと無いなら、とりあえず敵は海賊を読んだらどうだと言われた。

が、何やらたくさんある上に古い装丁と新しい装丁と同じやつでも複数あったりする。どれか一冊と言ったらどれだ? と聞いたりしているうちに猫たちの饗宴を買うことになった。

で、読んだ。おもしろかった。

敵は海賊・猫たちの饗宴(神林長平)

おもしろかったが、おかしくはなかった。

まったく知識がないまま読み始めたため、何やらおっかない猫を想像しながら読み始めたのだった。で、いきなりその緊張の糸を切るというモンスターズインクとかでおなじみの手法を小説でやっていて、なんじゃこりゃと思ったが、1980年代中頃の作品か(にしてもまだ新装版が出ているということは実にロングセラーなのだな)。これ、1970年代に生まれた人間がリアルタイムに読んでいたら、ものすごくおもしろかっただろうなぁとか考えながら読み進める。

で、モンスターズインクを想像したために、アプロという猫型宇宙人に続いてラテルという登場人物が出て来たのだが、当然、こいつもネコ型だと想定して読み進んでいくうちにわけがわからなくなった。実はこのときが一番おもしろかった。

そのうち、どうもスラプスティックコメディだなと気づき(チーフとラテルが精神を固定された状態で会話を続けるあたり)、それにしてはまったく爆笑できないなぁとか考えながら読んでいて不思議になった。

そういえば、数年前にウィリスの短編集を読んでいてああスラプスティックコメディだなぁと思いながらまったくおかしくなかったことがあった。

しかしすぐにスラプスティックコメディだと気付くのは、まさに中学生あたりのころに筒井康隆やらかんべむさしやら超革中やらを読んでいたからで、日本のSFでスラプスティックコメディってのは伝統芸なのかなぁとか考えたりしながら、なぜこうもおかしくない(おもしろくないといっても良いのだけど、小説そのものはおもしろいから途中でやめる気にはまったくならずに先を読み続けているわけなので、やはり可笑しく感じないというのが正しいのだろう。が、可笑しくないというとそれも違うわけで、結局のところああスラプスティックコメディだなぁと認識して読解している状態という奇妙な感覚だ)。

はて、なぜだろうと考えてみる。そうは言ってもこないだマリカセブンを読んで笑い転げたわけだから、何かを読んで笑うということができなくなったわけではなさそうだ。

まりかセヴン : 1 (アクションコミックス)(伊藤伸平)

つまらないかと言えばおもしろいから、単純に笑えないということなんだろうなぁ。で、テンポか、と思い当る。

遅いのだ。

そういえば、こないだYoutubeでゴッドセイブザクィーンのオリジナルプロモビデオ(テームズ河を船に乗ってるやつ)を見て、あまりのテンポの遅さに愕然としたのを思い出した(まるで当時にあってシナトラ版のマイウェイを聞いているみたいだ)。懐かしのテレビ番組とかで主題歌を聞くとあまりの遅さに仰天する(ブーフーウーだと頭の中では再生しているのに、実際にはブーーーーフーーーーウーーーーくらいの速度)のと同じ感覚だ。

勝手にしやがれ!!<35周年記念デラックス・エディション>(セックス・ピストルズ)

ピストルズは1977年だけど、1980年代はピストルズのテンポで物事が進んだ時代だから、今となっては実にのんびりとしていたのだなぁと感慨深い。

で、どれだけ主人公たちがどたばたしようがまったくくすりとさえすることなく、淡々と読み進めたのであった。

それにしても先日のうしおととらに引き続き、ネコ型思考様式の相棒を持つ主人公の話を読むことになるとは思わなかったが、なかなか得難い経験だった。

あと多分イラストを描いている人は本当は耽美的な画を書く人のような気がするのだが(でも平仮名名前だから違うのかも)、そっちのタッチのほうが逆に良かったのではないかなぁとか思った。それにしても、イラストを見て初めて主人公はホモサピエンスだと分かった時の衝撃はなかなかすごかった。


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