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妻と子供がおもしろそうだというので、アマゾンプライムでパミョを観る。
2時間程度の映画だと話題の広告は先頭にしか入らないからまあ良いか。どうせ金払って映画館へ行ってもクネクネ映画泥棒だの紙兎ロペだのを見させられるわけだし。
太陽系の惑星の最初のやつは水星で、ローマ神話のメルキュリウスってことは水銀だから、なんとなく西洋流の呼び名を惑星の呼び名としているのだと思っていたわけだが、よく考えてみるとヴェニュスが金星、地球はおいておいて(球をわざわざつけているくらいだし)、火星がマルスで木星がユピテルなのだから、全然関係ないことくらいは気付きそうなものだ。
で、映画の中で滔々と語られる五行の説明で、地を挟んで金と火、水と木が組み合わせで、それぞれの組み合わせが相克というのを聞いて、なんだ五行から取ったのかと気づく。言われてみれば、その後ろが土(本当は地にしたかったのだろうが残念既出だ)、天、海と別系統なのが直列しているからわかりにくいこと甚だしい。
と、パミョ観て気づいた。
映画そのものは、ちょっとだるいところはあるが、まるで地面師たちのように怪しい4人組が何か良からぬことがあると、先祖が良からぬ墓で困っているからそれをどうにかしなければならないと金持ちからの報酬を狙っていい加減な商売をしているようでいて(実際、既に風水的に良い墓所は無くなっているから65%の良さの墓所を100%と言って売りつけたりしている)、その実は職務に誠実(良くわからんが巫術を使う若い男女コンビは師について修行を積んだりしているしえらく疲れそうな体力勝負の祈祷を延々としたりするし、なぜか大統領の国葬のでっかなポスターを貼った店を構える納棺師は実際に大統領の納棺を行ったりしているので、まじめはまじめなのだが、それを言ったら地面師たちだって自分の職掌には誠実なわけだが)、ついには誠実さあまって国(国家でも国体でもない)のために命を賭けて日本統治時代の置き土産と戦うというストーリーでおもしろかった。
なんで五行の説明を延々とやっているのかと思ったら、金と火の組み合わせ(これも物語上の謎の1つになっているわけだが)による超強力なラスボスに対して水と木の組み合わせで戦うことの説明となっていたのだった。
おっかない因縁話のネタになるくらいに普遍的なのだろうが、墓の場所がよろしくないからとかの理由から子孫をひどい目に合わせるという発想(墓相とかいって日本にもあるし、蒲松齢の作品を読むと中国にもあるし、少なくとも東アジア三国には共通のようだ)はいかにも家族制度と家父長支配制度の悪い面が凝縮されていてよろしくない。
いずれにしても、何も悪くないのにあらぬ疑いをかけられて殺されかけている熊が可哀想だ。
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