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日々の破片

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2015-11-28

_ 猪俣の百八燈

川越街道を走っていて、いろいろ気になるものがあるのだが、ついにそのうちの一つの猪俣の百八燈に入り込んだ。

川越街道を東京へ上っていくと寄居の手前あたりに標識が出ていて、右へ矢印が書いてある。

そこで右へ入るといきなり詰んだ。

道は2つに分かれていて、真ん中に「この先行き止まり」と書いてある。

うーん、しばし考えた末、右は急に上に上り、左は比較的ゆるやかだ。ということは右のほうが行き止まりなのだろうと左を選ぶ。

さらに2つに分岐して、右はなんとか工業敷地と書いてあるように見える。であれば左だ。すると急に緑の中になり、そのまま進むと左方向へトの字(の逆なわけだが)に突き出したところがあり、はて? と思いながら進むと右手の土手から突き出した灌木がぐさぐさ車に刺さるがしょうがない。と、いきなり池に出て釣り禁止と書いてある。チェックメイトだ。もう目の前が深そうな池なのだ。

そこで車をトの字までバックさせ(もちろん突き出た灌木に攻撃を喰らいまくる)トの横棒にそのままバックで入り、やっと方向転換して元へ戻るが、はて、どこに百八燈があったのだろうか?――というか、そもそも百八燈ってなんだ?(わからないからこそ来たのだった)

しょうがないので、川越街道すぐの分岐の右を選んだ。すると開けた野原になっていて、先客が2台いる。1台はワゴンで青いプラスティックのテーブルを出してビールを飲みながら歓談中だ。わけがわからん。

そのとき、スマホで調べていた妻が言う。「重要な文化財は文化財でも無形って書いてあるよ。盆踊りみたい」

無形なのか! それじゃ、この広場で盆踊りをするのか。

にしても、その広場が妙なのだ。上って来た道を縦棒として(上)───┬(広場)となっていて、形が妙にいびつだし、盆踊りという雰囲気ではない。

良くみると、看板があるので一応、車を降りて見に行った。

すると、なんかすごく妙なことが書いてある。

平安時代から鎌倉時代にかけて猪俣党の本拠地で、毎年8月15日には、108個の塚に燈を灯す。猪俣党は総出で塚を盛ったり薪を集めたりこの日のために働く(ウルトラ大意)。そして現在に至る。

良くみると、崖っぷちから山の上にかけて、いい加減な間隔で、大きさもまちまちな塚が延々と立ち並んでいる。

なんと異様な光景なんだ。

ちょうどあたりは夕暮れ、このあたりにはあまり民家もなく明かりもほとんどない(除く青いプラスチックテーブルの猪俣党(多分)。

すると、夜、多少の月明りだけでほとんど何も見えない光景が浮かんでくる。人々が集まり、塚に燈を灯していく。すると少し広くなった崖上の広場のぐるりから小山の上のほうまで続く塚に燈がともっただけの風景が見えて来た。

おお、どえらく幻想的ではないか。

平安時代から鎌倉時代(えらく大雑把だな)ということは800年以上、延々とこの小山は人々を集めて燈を灯して来たのだ。時間と空間のパースペクティブだ。

こんなところが日本の、それも東京からただか数10キロの位置に存在していたのか。

(まったく埼玉は秘境の宝庫だ)

と、単に塚がある広場で車が3台、ビールを片手に談笑しているおっさんたちと、良くわからない1台に、奥さんと二人で怪訝な顔をしながら妙な感動にうちふるえるおれがいた。

百八の塚が丘の上まで続いている

(ラクダの背中のこぶみたいなのが上へ向かって並んでいる。今度来たら108あるか数えてみよう)

なんかすごく不思議な光景が想像できたから、来年の8月15日に来てみようか、と奥さんと話していると、奥さんがさらに検索して、8年前から花火大会が併設されるようになったら、近隣から2万人が集まるようになったと書いてあると言った。

どこから2万人も集まるのだ? と謎が謎を呼ぶが、別に花火大会は見たくないなぁと、不思議な日本を見つけた高揚感がしぼむのを感じたが、それでもやはりおもしろかった。


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