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日々の破片

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2010-11-22

_ 新国立劇場のアンドレアシェニエ

演出がおもしろい。最初、前回のフィガロのような抽象演出なのかと思ったら違った。ちゃんとコスプレして(かつらも使う)、それなりの小道具も使う。

幕の直前はフラッシュを使った戦闘シーンで効果音と共にギロチンが下る(1幕――実際には1場だけど――ではびびった。2幕では慣れた。3幕ではうんざりしかけた。幕間のギロチンが増殖する映写とか。この増殖の仕方の微妙な角度が、東京リングの映像(神々の黄昏のギュビッヒの羊の頭のマークあたりだと思う)にそっくりで、おそらく同じ映像作家の手になるのではないかな)。

シェニエを演じたロシアの人は低音のほうがちょっと弱い気がするが、伸びやかで好きな声。マッダレーナもいい(アンコールでやたらと子役を気に入ったらしく抱っこしたり引っ張りまわしたりしていてなんだろうか、と思った。髪形が同じ)。ジェラールは好演だと思う(バリトンの人はわりといつも声が小さく感じるのだが、そういうことがない)。それにしても物語の長さのわりに上演時間も短いし、良く歌う歌手はその3人だけだからえらく疲れるのではないかなぁとか余計な心配をしたり。

だが、僕が一番感動したのは、50年という歳月だ。

アンドレア=シェニエ*歌劇 [DVD](ジョルダーノ/カプアーナ(フランコ)/NHK交響楽団/デル・モナコ(マリオ)/デバルディ(レナータ)/プロッティ(アルド))

僕にとってのシェニエとは、NHKのイタリアオペラに他ならない。確か、このDVDはそれほど問題ないという記憶があるのだが、キングから発売されていた(という記憶)LPではラママモルタの直前のチェロによる独奏がこれ以上はないというくらいに失敗しまくっていて、テバルディもデルモナコも素晴らしいのに、何このオーケストラというのが率直な感想だった。そのため、1幕のデルモナコが愛を唄うところばかり聴いていた。

が、東京フィルは見事に演奏している。オーケストラが素晴らしいじゃないか。ここまで来たのだなぁ。

それに合唱の美しさ。くだらない(現実の音楽としても脚本上の音楽としても)羊飼いの歌が実に甘美でこれなら革命しなくてもいいよなぁという感じ。

それにしても貧民大集合のジェラールの示威行為が大鎌かついだ黒装束の集団というのもちょっとびびった。演出の適度な過剰さが気持ち良い。

子供が、孫を革命に差し出した老婆が支えを求めてうろうろするのはどういう演出だ? と訊いてきたが、さてどうだったか。あのシーンを見るとジェラールは血も涙もない政治家にみえるが(容赦なく子供を引き連れていく)、そういう意図なのだろうか。

最後、シェニエとなんちゃら夫人の名前を呼ぶところはエコーをかけたマイクを使って強圧的というか冥府からの呼び出しのような効果。

これは良いプロダクションだ。再演したら(今回が2回目らしいが)また行きたい。


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