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先月末から、やたらと継続買いしているマンガの新刊が出てきて、どうしてこうも時期が固まるのか不思議だ。
まず、へうげものを先月末に見つけてから、すぐに
軍鶏だ。新展開でどうも元の原作者の物語の影響を脱したらしく、軽口たたきながら、良い感じ。
で、さらに気づくと
大正ガールズ エクスプレス(5) (KC KISS)(日下 直子)
大正ガールズエクスプレスが出ていて、吹き出しの形状や引き込み線といったマンガ技法の発見をしつつ、ついに卒業を目前に社会とどう折り合いをつけるかに話が移り(そこで大正の同人誌ブームが重なるのだが、この仮想的な大正史の中で電子出版まで話が進められたらすごいけど、さすがにそれは無理だろうな)、
一体、どう話をつけるつもりか、手作りの冊子に込めた思いとデジタル化可能なテキストが干渉しあったりしているうちに、堂々たる物語の真打が2つも待ち構えていた。
さらに、別の味わいの楽しみも待っている。
と、突然の出版ラッシュなのだった。
(追記:で、もやしもんが4月の頭か)
もやしもん(12)限定版 (プレミアムKC イブニング)(石川 雅之)
(何がつくんだろう?)
ザ・ネクスト・デイ デラックス・エディション(完全生産限定盤)(デヴィッド・ボウイ)
まあ、買ってしまうことになるけど、ジャケットのセンスは最悪だよな(鋤田氏に金払いたくないとかそういう話だとまでは思わないけど、スティーブレイボーンへの金払いが悪くてツアーから逃げられたというような話を思い出したりもしないでもない)。
それにしても、『スパコンで力任せに数独の難しい問題を作る』の追記には含蓄がある。
ただ、せっかくの含蓄あるお言葉なのに、エントリーの末尾ではなく最初に置いてあるので、ちょっとがっかり感もある。
二流小説家はとてもおもしろいメタ小説なのだが、読んでいて、どうも既視感にとらわれてしょうがなかった。
題名から想起されるイメージはバラードなのだが、まったく違う。
(どうでも良いがこのての小栗虫太郎リスペクトな名前はなんなんだろう? いろいろなバリエーションを見かけるが実は同一人物なのかなぁ)
既視感があるのは、人体をばらばらに分解して再構成してオーナメントを構築するところの描写方法にある。レクター博士ではないし、もしかするとステロタイプなだけなのかも知れないけど、おれは粘液と血液がしたたるような気持ち悪いのは嫌いだから積極的にはそういう作品って読まないだけに不思議だ(つまり記憶にない)。
が、唐突に読んでいるさなかに頭の中でBGMが鳴り響いた。2人目の犠牲者がベッドの上に飾ってあるところかな? (ちょっと記憶はあいまいだ)
退屈なディストーションサウンドで、それに比べればルーリードのメタルマシーンミュージックのほうが一億倍魅力的だ。スロッピングリッスルかなぁ? でもそれにしては機材がリッチな音なのが不思議だ。
で、メロディーラインがほとんどないので特定するための手がかりがなくて、どうにも気持ちが悪かったのだが、何度か頭の中で再生しているうちにボーカルパート(というか語りだが)が入ってきて、ちょっとしゃがれた声でボウイの最もおれの好みではないアウトサイドだと気づいた。
確かに、アウトサイドの中には、美術館の入り口に死体を分解して再構成した美術品を展示するというような詩があった。
趣味の悪い作品だったうえに、音楽もつまらないから、まったく忘れていたのだった。
が、記憶の引き出しというのはおもしろいなぁと思った。
というのを、ネクストデイを見て思い出した。
アスキーの鈴木さんから頂いた本の中にSoftware in 30 Daysというスクラムのマネージャ向けの本がある。
マネージャ向けというのは僕の印象論ではなく、著者の言葉だ。『本書は、生き残りと競争力をソフトウェアに依存している組織のリーダーたちに向けて書いたものだ』。でもプレイングマネージャっているし、という前にもっと明確に『ソフトウェア開発を「しない」人に向けて書いたのは、本書がはじめてである』と書いている。さらに定義として『優れたソフトウェアを短期間・低コスト・高い予測可能性・低リスクで届けたい組織のCEO・経営者・シニアマネージャに向けて書いたものだ』としている。
まず、薄い本だ。全部で208ページだが、P.140以降は用語集とスクラムガイド、プレイブック、そして索引なので実質150ページ程度で、なるほど、この読解高速性というか即席性からしてすでに開発しない人のための本となっている。薄さにあわせて価格も抑え気味だ。
ところで、プレイブックってなんだろう? スクラムをプレイするための心構えや方法が書いてあるのだけど。シナリオっぽくもあるし、辞書をひくと脚本、計画、戦略と書いてあるから、読んで掴んだイメージ通りのものらしい。追記:アメフトらしい。
であれば、実は、この実質30ページ弱の付録C『エンタープライズアジリティを獲得するためのプレイブック』だけ読んで済ませても良いように思う。
そうではなく、まず説得されて納得したければ、本文を読めば良い。
すると、Software in 30 Daysというのは、30日で開発するのではなく、適切な区切りで(全然別の言い方をすれば)PDCAを回すと、ソフトウェアだと最大でも4週間程度が区切りとして良いという意味だということがわかる。
根拠はわからないが、30日のコストに対して2週間だと1.5倍のコストがかかり、1週間だと3倍にコストが膨らみ、30日を超えると情報が処理しきれなくなったりだれてしまうから問題外ということらしい。
根拠はわからないと書いたが、最初のほうでソフトウェア開発では経験主義が正しいとしているので、経験的にそうなるということだろう。
というわけで、本文はスクラムの概要を盛り込みながら、なぜ経験主義が正しく、そして経験に基づけばスクラムがソフトウェア開発には最適であるということが説明され、付録で用語を示し、ガイドでルールを覚え、プレイブックを参照してプランするという構成となっている。
妙に簡潔にまとまっていること、内容がこなれていることから、アジャイル15年の歴史で、ここまで洗練されたのだな、と考える。
というわけで、チームの進め方がまだアジャイルになっていなければ、とりあえずスクラム、手元にこの本、でやってみるのが良いのだろう。
Software in 30 Days スクラムによるアジャイルな組織変革"成功"ガイド(Ken Schwaber)
判型は技術書の定番のサイズより一回り小ぶりで、ページ数と価格も手ごろなので、読みやすい。
イメージフォーラムでベルトルッチの分身。とりあえずメモ。
先週から通勤中に読んでたミレニアムの1巻目を読了。えらくおもしろかった。
紙で400ページが1cmに満たないデバイスで読めるのはありがたい。
罠にはまって名誉毀損で有罪になった独立系雑誌の経済記者が、政治的な休暇中に引き受けることになった財閥の過去の事件の調査をするうちに明らかになるスウェーデンという国に残るナチズム(国家社会主義のほうではなく、優生主義のほう)や、弱者に対する性暴力のありようと、その事件にかかわってくることになる(主人公の観察によると)アスペルガー症候群らしき女性ハッカー(が、タイトルロールのドラゴンタトゥーの女)の社会との困難な格闘が書かれている。物語の基調となる主人公は経済記者のほうだが、人間的な魅力はハッカーのほうにあるし、タイトルロールなんだから(ただし翻訳用みたいだ)本来はそっちが主人公なのだろうが、意味がないと口をきかないので作家としては物語を語りにくいので副主人公っぽい位置においたのかもしれない。
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上・下合本版) (ハヤカワ・ミステリ文庫)(スティーグ・ラーソン)
最後はまったく感が漂ってしょうがないけど、しょうがない。せっかく掃除したのになぁ。
本編の演出の素晴らしさが特筆ものなのだが、一番、観ていて印象に残ったのは、衣装と舞台のデザイナーコンビに対する幕間のインタビュー(ルネフレミングによる)。
2人とも女性らしいのだが、ハンプティとダンプティのように仲良く手をつないで肩をさわったりしながら、まるで二人の共通の秘密を分け合うがごとくインタビューに答えるので妙に印象的だったのだ。
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_ はら [これはスンバラシーですね。質が高い!]