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日々の破片

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著作一覧

2014-10-30

_ ネコ学

妻が図書館でネコ学入門という本を借りて来たので読んだ。

著者はイギリス人らしい。

最初の数ページはとてつもなくおもしろく、わくわくさせてくれる。

人間とはまったく異なる生物がどのような思考体系を持つのか、それを解明してコミュニケーションに役立てることを考えるというようなことが書いてある。

まるでファーストコンタクトものSFみたいだ。

そういう発想でくるのか。ある点では行動経済学的なアプローチのようでもある。

が。

本文に入るとそこまではおもしろいものではなかった。

むしろ、この人のバイアスが不思議になってくる。

イギリスでは犬よりも猫のほうが飼われているという数値がデータとして示される。なるほど。

人間がネコを飼う効用は他者から頼られるということに由来する満足感を高めることであり、それは自尊心の問題である。したがってノラネコに餌をあげる専ら高齢の女性がいるが、そのような効用があるからだ。

うーん、まあそうだろう。

生後2か月の間に親猫から他の動物とのつきあい方などなどを教育されたかどうかで、その後が変わる。そういうことはありそうだ。未熟な親に育てられるとなつかないネコになる。

それもあり得るかも知れない。

ネコ用トイレ砂のイギリスでの消費量についての記述がある。

次の瞬間、筆者はこれは妙だと書く。なぜならば、生後数か月したらトイレ砂は不要となる。なぜならば、庭に穴を掘って排泄して自分で埋めるから、トイレはいらないからだ。

ちょっと待った。家猫という発想は無いのか? ――無いのだ。それは良くないことなのだ。ネコは昼は外で暴れているのが自然なのだ。

でも待て、イギリスといえば別に庭にネズミや鳥やウサギ(猫はウサギも狩るらしい)がちょろちょろしている田園だけではあるまい。想像だが、ロンドンというところはそれなりの人口があり、おそらくそれに見合った猫を飼っている人がいるのではあるまいか。そしてロンドンというのは多分、そこらじゅうが舗装されていて猫が排泄のために掘れるような場所があるようには考えられない。もちろん、ロンドンに行ったことはないから想像に過ぎないが。家猫として飼えばそれはトイレ砂は消費されるはずだし、むしろ、筆者は少数者ではないのか? 何かおかしくないか?

餌についての記述もそういう目で読み始めると何か変だ。

これがイギリスなのだな。

と言う具合に、何かがおかしいのだが、それでもいくつかはなるほど感もあった。

ネコ学入門: 猫言語・幼猫体験・尿スプレー(クレア ベサント/Claire Bessant/三木 直子)

むしろイギリスの猫の本ならばこちらのほうがおもしそうだ。

猫は跳ぶ―イギリス怪奇傑作集 (福武文庫)(エリザベス ボウエン/橋本 槙矩)


2014-10-24

_ 半世紀前の学校給食

昭和のいわゆる三丁目の夕日のあたりの給食事情って知らない人のほうが多いんだなぁと感慨にふけるが、これっぽっちもノスタルジックなものはなく、よくここまで来たもんだと感心する。

事実だけを列挙した給食の歴史だけからはわからないのだけど、太平洋戦争でボロ負けしたのではしょうがないとしても子供が食べられないのはまずかろうと(食い物に困るくらい完膚無きまでに敗北したわけだ)、ユニセフが脱脂粉乳、米国が小麦粉を援助することで、大都市で完全給食というものが始まった。これもなぜ大都市かというと、大都市にはそこに居住する学童に配分可能なほどの農業がないからという理由だ。(都会の人間が田舎へ列車に乗って農家と物々交換で米を手に入れる必要があったような時代のことだ)

多分、(そういうことを書いているものを読んだことがあるし、経済合理性からは正しそうだが)、寄付する側、つまり米国は、日本を米国からの食糧輸入に頼る国家にしたかったのだと思われる。子供の頃から小麦粉→パン食によって米を食べる習慣がなくなれば、世界最大の小麦輸出国家の米国に依存する必要が出てくるからだ。脱脂粉乳はほとんど廃棄物のようなものから作ってたというような噂もあったし、実際、えらくまずいものだったらしい(けど、これについては、飲み慣れないからそう感じたんじゃないかと、眉唾感はある)。

僕が小学校給食を食ってた時代(昭和40年代の後半以降)になると、ほぼまずい食パン(これのおかげで当初の米国の目的がどうあれ、子供はパンは不味い豚の餌だという認識ができたので、米農家にとっては逆に良かったように思う)、月に1日くらい揚げパン(砂糖をまぶしたコッペパンを揚げたもので甘いから美味しい)が入る。蛋白源としてはほぼまずい豚肉(これがまずいので僕は豚肉を嫌いになったけど、パンと違って必ずしも意見が一致するわけではない)がほとんどで、月に3回くらいクジラの竜田揚げが(これも当時は安くて一般需要はなかったのだろう)出たのだが、クジラは(竜田揚げという味付けの性格上)人気メニューだった。脱脂粉乳はさすがに消えて、森永の牛乳(ときどき明治に変わったり、名前忘れたけどそれ以外のところに変わったり)になった。日本でもこの頃になると酪農が発達したのだった。

というわけで、今と全然違うのは、

・基本的にまずい

カロリーや必須アミノ酸やビタミン、カルシウムなどは計算されていたわけだが(おそらく衛生面についても厳重に管理されていたと思う。給食由来の集団食中毒というのは聞いたことがない)、味というものはほとんど考慮されていなかった。

というよりも、味を良くすることは、予算的にも技術的にも不可能だったと思う。輸送技術(東名高速開通前で長距離は貨物列車に依存。空輸はあり得ない。というか、最初に乗った飛行機はまだプロペラ機だったくらいの時代なのだ)、保存技術(冷凍庫が普及する前だ)、調理設備などがまだまだ未発達だったからだ。もしかすると米を導入できなかった原因の一つは、多い所では1つの小学校で数1000人の学童がいる(子供が多かった時代だ)から、それだけの米を炊くということは物理的に不可能だったのではないだろうか。また、パンと異なり炊いた米は水分が多いので、外部に委託した場合は(首都圏近郊にせざるを得ない)輸送中に腐敗が始まる可能性もあり、衛生面から無理がありそうだ。(真空パックとかも安価な技術としては存在していない)

・クジラは人気メニュー(このあたりが、反捕鯨運動に対してある程度の年齢層が胃袋レベルで反感を持つ理由ではなかろうか)

いろいろ思い出しながら書いてみると、技術の発達によって、子供がそれなりに食える給食をもらえるようになったのだなと実感するなぁ。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

_ ただただし [同世代なのにけっこう印象が違ってて面白いですね。クジラの竜田揚げは硬くてパサパサしていた記憶しかないけど、豚肉には良..]

_ arton [豚はやたら脂身が多くて、しかも調味の都合か臭みがつよくて僕はだめでしたね。今は東坡肉とか、むしろ好きだけど。クジラは..]


2014-10-22

_ 黒船に乗ってウォーカーが来る

ウィリアム・ウォーカーは、閑を持て余していた。心の中はイギリス人への憎悪でいっぱいだった。

南北戦争には興味をもてなかった。それよりも、かってニカラグアを支配したときのように、自分が王として君臨したかった。それもかって見たこともない地で。

再度私兵を引き連れメキシコ湾に上陸した時に、アメリカ海軍最大の外輪フリゲート艦ポーハタンを乗っ取ることに成功した。水兵たちは全員、ウォーカーを英雄視しているし、士官たちもウォーカーの実行力には一目も二目もおいていたのだ。ウォーカーはこの船が日本という太平洋を遥か西へ進んだ先にある国へ行ったことがあることを教えられる。

かくしてウォーカーは中米ではなく、東洋を目指すことを決意した。乗組員たちはかって知ったる浦賀へ向かうことになる。3度目の黒船も熱狂的な歓迎を受けた。ウォーカーは幕府を傀儡として日本を支配することを目論む。

その頃、イギリスは長州藩と戦争をしていた。長州はボロ負けしたが、高杉晋作はうまいこと賠償金を幕府へ肩代わりさせる交渉に成功し、イギリスと同盟を結ぶ。このままイギリス海軍の力を借りて一気に討幕だ。イギリス海軍は九州を迂回し黒潮にのって江戸湾を目指す。途中、薩摩の軍艦が一行に加わる。長崎のパークスが坂本龍馬経由でイギリス海軍と薩長連合を結びつけたのだ。

かくして、伊豆半島を舞台に、ウォーカー率いるアメリカ人傭兵部隊+幕府と薩長イギリス連合の日本支配の戦いの火蓋が切って落とされた。


2014-10-19

_ ドンジョヴァンニ

新国立劇場でドンジョヴァンニ。

タイトルロールをエレールが歌うというのですごく楽しみにしていた。前回のクヴィエチェンも良かったが(まるでプリンスのようなすごい歌手だなと思っていたらメトのスターになってしまったからもう新国立に来ることはないだろう)、エレールは別格だ。ウィーンスターツオパーの総裁引退記念でのローゲを観てからのファンなのだ。

それが予想以上に素晴らしかった(そう来るのかという驚きもあった)。威風堂々、ノーブルで、しかも風雅なドンジョヴァンニなのだ。もちろん歌う内容は下種なのだが、それはドンジョヴァンニだからどうしようもない。

後になってインタビューを読んだら

「まず第一に、ドンは貴族なのです。どんなに汚い面やダークな面を持っていても、彼は貴族ゆえにたいていのものは手に入る身分です。それが手に入らない場合にのみ、実力行使に出る。ふだんは荒っぽくて粗野な部分を出す必要はないと解釈しています」

と語っていて、なるほどと納得すると同時に、自分がイメージした通りの人物像を観客に間違いなく提示できる知性と力量を持つ大した歌手だなぁと感心した。1幕、ツェルリーナに語り掛けるように歌い始めて二重唱になるやつがこんな良い曲だとは思わなかった(というかツェルリーナも良かったのだ)。

レオポッロのマルコヴィンコはカタログの歌のところではなんか声は通らないし、あまり愉快ではないなぁと感じたが、どんどこ良い調子。いずれにしても、2幕でもう飛ぶまいぞこの蝶々の引用のところで、これは知っているというのはずる過ぎる。

演出は前回と同じく、鏡面の水面をゴンドラで登場する。(その前に扉が開くところが美しい)。後ろの幕があくと、水面に建物が影を落とす(前回もそうだったかな?)。

エルヴィーラは声が通る良い歌手。

でも特に良かったのはドンナアンナで、正直なところ(おれはそれほどモーツァルトは好きではないこともあって)ドンナアンナとドンオッターヴィオが歌っている間は休憩時間なのだが、このドンナアンナは素晴らしい。声量があるわけでもなければ、すさまじい美声というわけでもないように思える。しかし、どうあってもこれまで聞いたどんなドンナアンナよりも歌の良さ(そういうものがあるとして)を引き出していた(カルメラ・レミージョという人)。

妻屋は不思議だなぁ。最初にラインの黄金のファフナーあたりで見たときは全然ぱっとしない感じだったのに、実に堂々とした歌いっぷり。

バックステージツアーに当選したので終演後は舞台装置の見学。舞台監督の斎藤さんの話を聞くのはこれで3回目くらいの気がするが実におもしろい。袖から舞台に移動するとすーっと変化するという話は特におもしろかった。(客席後方のマシン室は金魚鉢と呼ぶらしい)

そのとき、おれの頭の中ではムーンバット先生がグラウンドから外に出るところのシーンが想像されたのだった。

フィールド・オブ・ドリームス [Blu-ray]


2014-10-15

_ パーソナルデバイスとパーソナルコンピュータ

hsbtさんが iOS のファミリー共有機能を使ってみたと日記に書いていたので、早速真似をして子供と共有した。

元々はiPod touchを買って(えらく前のことだ。初代のやつだから)、今は亡き(別の会社が出したかも知れないけど、例のとんでも機能を実装してアップルから追い出された)ロングマンを入れて、このてのデバイスを辞書として利用することの良さに目覚めたことに始まるのだが、気付くと、ウィズダムやプチロワ、大辞林が、二代目になる赤いiPod touchに入っているのだった。

というところで子供にiPhoneを買ってやり、未成年だったから、おれのアップルIDでとりあえずセットアップしてやったのだった。アップルIDがおれだから、当然、iPod touch用に買った辞書のたぐいがすべて入って子供も使っていた。

が、子供が成年したので、クレジットカードを作ってやって、自分のアップルIDをとらせたのだ。多分、こうなると、おれが買ったアプリケーションは消えてなくなってしまうだろうと思ったから、買い直してやるよとか言っていたのだが、そんなことはなかった。そのままデバイスに残っている。

が、ここのところiOS8への対応でばんばんバージョンが上がるのだが、その都度、おれのアップルIDで認証が求められて面倒だったらありはしない。

やはり買い直してやるか……とか言っていたところにファミリー共有機能だ。さっそく設定すると、なるほど、App Storeに「購入したものすべて」というタブが出て、それぞれが購入したもののタブへのリストが出てくる。

(しかしカードは共有したくないのだが、iCloudの設定にはiTunes&App Store設定で変えられるとか出ているのに、実際にiTunes&App Store設定にいくと、そんな項目はないんだよな。Apple IDを表示するとお支払情報は出てくるけど、単にファミリー共有ですとか能書きが書いてあるだけで変えられないのが不可思議だ)

で、まあそれで思ったのが、電話だのiPod touchだのはパーソナルデバイスだから、家族全員が持つわけで、そうなら、ソフトウェア(iTunesの楽曲も共有できるようだからコンテンツもだな)は共有させてやっても良いかという、アップルというまさにハードウェア屋ならではの方策だなぁということ。

ふと、パーソナルコンピュータだって、家族がそれぞれ1台持つんだから、マイクロソフトもさっさと家族共有をやってくれれば楽なのにな、と考えたが、パーソナルコンピュータは、家族の共有以上に、企業の共有というよろしからぬ利用がなされる可能性があるから、そんなに簡単ではないのかと思い当った。このへんはアップルは企業用のハードウェア屋じゃないからやれるのだな。

(なら、Androidもやってほしいものだが、これもグーグルはハードウェア屋ではないので、収益はPlayの個々の売り上げの積み上げからなるのだから、共有させたら損ばかりということでやれないのかも知れない。デバイスは別だからなぁとはいえNexusブランドは使用料とか取ってそうだが)

と、各社いろいろな持ち味があっておもしろい。

Fire HDX 8.9タブレット (ニューモデル) 16GB

Kindleマンガ専用になっているiPadの容量が不足しているので、Kindle HDを考えているのだが、マンガ専用になるとわかっているものに5万円は出せないなぁ(普通の本はPaper Whiteで間に合っているし)とまさに金だけが問題で躊躇しているのだった。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ ishisaka [MSもホームネットワークというコンテンツ共有機能あるんですけどね。今一だし、今一なのはMSがコンテンツビジネスで発言..]


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