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HouHsiaoHsien

侯孝賢(ホウ・シャオシェン)

おれの好きな映画監督の一人。以下、見た順。

童年往時

おばあさんの床ずれ。木。蟻。味の素。学生服。

最初、NHKのアジア映画で見たんだ。びっくりした。ああ、映画ってこういうもんなんだ、と再発見したくらい。家があって庭があって道があって村がある。場所と人、行動と感情。科白と環境音。 風櫃(フンクイ)の少年と同時に公開された時に映画館で見直した(はず)。

侯孝賢傑作選DVD-BOX 80年代篇 侯孝賢傑作選DVD-BOX 80年代篇

恋恋風塵

2本目として紹介された作品。郵便屋さん。汽車。酔っ払って屋台でくだをまく。

この頃までは、ブルータス流の紹介が気に食わなかったので、公開時には見ていない。したがって、実際には、風櫃の少年の次に見たはず。

風櫃(フンクイ)の少年

ここから見始めた。

安楽イスの頭がへこんだ親父。工事中のビルの映画館。総天然色。大パノラマ。そうか、これが映画だったのか。これは騒がれるはずだと、びっくり。藤田敏八の八月の濡れた砂とかをぼんやりと想起するのは服とか画面の質感のせいで、内容はまったく関係無い。

DVD: 風櫃(フンクイ)の少年 DVD: 風櫃(フンクイ)の少年

ナイルの娘

転機だったと思うのだが、夜の暗さが印象的。好きな作品だが印象は薄い。

冬冬の夏休み

DVD: 冬冬(トントン)の夏休み DVD: 冬冬(トントン)の夏休み

検便に犬の糞というのはこの作品だったか。これも印象は薄い。

川の流れに草は青々

ほとんどデビュー作の唄うヤングだ青春だ教師もの。というか、いきなりこんな技巧的な作品を撮るってことはよほどのインテリに決まっているじゃないか。街角の映画館。ギターを弾いて歌う川辺のシーン(女教師と一緒)。

悲情城市

国民党の政策をはじめて大声で語ったという歴史的な意味も持つらしい映画。相対的に日本人が良く書かれていてちょっと変な気もする。立川直樹の音楽が期待と不安の入り混じった時代をうまく表現していて誰が見ても納得するような佳作ではある。

DVD: 悲情城市 DVD: 悲情城市

僕は、しかし、もっと小粒なやつが好きだなと感じた。

あー、で今並べてて思ったが、この作品はもちろん転機となっているのだが、ヤクザを描きたくなったのかな。ヤクザというよりは、風の旅団というか、好き勝手に生きる、風来坊というやつだ。風が木をゆするのが印象的な童年往時、風がつく町から来たチーマーみたいな連中、と来て、この後があるのかも。

戯夢人生

傀儡師の親父の一生。実は同じようなテーマ(ただし弟子との交流が主眼となる)不思議な仮面劇の親父を主人公にした中共の映画のほうが好きだったのだが、全然関係ないからどうでも良い話。

というわけで、ほとんど記憶にない。舞台の記憶はあるのだが、確信は持てないな。

好男好女

奥山プロデュース第1段。伊能静とかいう名前の女優が怒鳴る、叫ぶ、わめくで途中で見るのやめた。すごくうるさくて不愉快な作品。

南国のなんとか

奥山プロデュース第2弾。第1段と違ってなんとなく方向性が見えてきたのでそれなりに楽しめたが、直接はナイルの娘の路線なんだろうが、部分部分にすばらしく美しいシーン――オートバイ、細長い家での食事、――がある反面、そんなに気に入らなかった。スタイルがはっきりしてきたのでハナについているのかも。なんか、まだありそうだ。

侯孝賢傑作選DVD-BOX 90年代+「珈琲時光」篇 侯孝賢傑作選DVD-BOX 90年代+「珈琲時光」篇

フラワーズ・オブ・シャンハイ

ははは、全然、記憶に残ってないのはなぜ? 寺山修司の上海ドールより遥かにできが良いと見ているときは感じたけど、ちょうど時期的に同じように「花」がでてきて同じようにデカダン趣味に溺れているチェンカイコーのやつがあったから印象が吹っ飛んだのかも。

というわけで、惰性で見てるがそろそろ愛想銀行に貯金がたまってそろそろ満期ですなというときに

ミレニアムマンボ

あー、またこのパターンかよ。でも、許す。夕張のシーンだけで許す。すばらしい。

DVD: ミレニアム・マンボ スペシャル・エディション DVD: ミレニアム・マンボ スペシャル・エディション

夕張の記憶

今、TVブロスを読んでたら、タランティーノが夕張映画祭に言及していて、それで思い出した。

日本人の兄弟の故郷が夕張で、そこに遊びに来た台湾(か香港)の女の子。ビルの裏の階段。白い道。雪。夜。街灯。映画のポスターの商店街(青梅みたいだ)。勝手口じゃないな、縄暖簾かな、間口が狭い。スノーキャップ。吐く息の白さ。

ほとんどホームビデオのようにカジュアルで、映像もラフ(と言ってもパリステキサスのそのままビデオとは違って明白にフィルム)。道路の雪は白く光るし、空は夜だから黒い。その間を3人の若者がじゃれ合いながら通って行く。静けさと礼儀正しさとそこはかとない無軌道さ。

これ、誰の、なんていう映画だ? 全然、記憶にないんだが。

(30分経過)

こんな映画を撮れるのは台湾だな、多分。侯かな? いつ見たんだろう。

(30分経過。侯の字を調べてたら、夕張映画祭のページを見つけてそこで確認)

ミレニアムマンボだ。すごい傑作だ。半年も忘却していたにもかかわらず、突然、映像とその映像に伴う心象が浮かび上がってくるんだから、これこそ映画だ。

(10分後)

パリステキサスのはビデオじゃなくてスーパー8のような気がしてきた。ざらつき感が。

珈琲時光

飛鳥山の北

なんかいろいろあって、足立区へ車で行った。

明治通りを北上だ。

で、ずっと行くと飛鳥山ってとこでT字路になる。

DVD: 珈琲時光 DVD: 珈琲時光

これは、あれか、祐天吉松のあの飛鳥山だな? そうか、こいつが飛鳥山かぁ。と感慨深く見る間もなく、路面電車の線路の上を通りながら左へ曲がる。っていうか空に電線。路面電車ってのもおもしろいが、これは、珈琲時光のあれだな。実は珈琲時光を見たら乗ってみたくなって去年の11月頃に早稲田から終点まで乗って、最後には極楽にたどりついたのであった(っていうかそういう名前の謎があったのだ)。

で、その後、ナビゲータに従って割りと細い道に入ったら、おもしろいのなんのって、ネーミングセンスがぶっ飛んだ飲み屋だのスナックだの飯屋だのが建ち並んでる。で、さらに豊島と名前が付いてはいるけど豊島区じゃなくて北区なところを通ったり(なぜなんだろう?)、隅田川を越えたと思う間もなく荒川越えて、と都市と郊外の絶妙な狭間の旅は実に興味深かった。

百年恋歌 というか 最好的時光

60年代を撮って良し、妓楼を撮って良し、現代のクラブを撮って良し、なんでもありの、集大成。

風と服装

うー、すばらしかった。時代の描き方の集大成というか。

特に60年代がやっぱりすばらしい。可能性としてはホウシャオシェンがその時代に成人したから一番感覚がしっくり来ていることか、またはこっちの記憶のルーツがあの時代だからしっくり来るということもありえる。 でも、それにしても、たとえば服の風に対する動き、色、船の上のポーズとそのシルエットといった演出に依存している部分について考えると、それだけじゃない気がする。 あの時代の服の風合いが、適当なぷらぷら加減が、映画にマッチするのかも知れない。

DVD: 百年恋歌 DVD: 百年恋歌

塀の向こうに突き立つ地名の看板、行く先々で次の行き先を告げられる流れ、道路の線の動きが無いロードムービー。抜群だ。

で、次に現在が初めて本当にしっくり見られた。ナイルの娘の暗いばかりでごちゃごちゃしていた感じ(で、内容はさーぱーり忘れた)に始まって紆余曲折があってミレニアムマンボで光の使い方が時代に追いついたのかな、という感じの先に、こう来るのか。台湾ゴスかぁ。これもバイクに乗る人間の服のシルエットがまず美しく、風を撮るのが本当にうまいと感じる。思わせぶりにいくらでもできるのに、そうせずに、ただそこにあるものをそこにあるように撮るってのは難しいだろうなぁとか思いながらも、そこに居て傍観しているような複雑な味わい。まさに映画だ、満足した。

Last modified:2011/07/13 23:15:24
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